100.(1/15)つんざく痛み
11長い水床トンネルをぬけると、高知だった。 抜けた先には東雲に染まる空と海、海辺の焚き火があった。 涙がこぼれる瞳に一面のピンクがやさしく映っていた。 そうしてあたしも、長いトンネルの先に光を見出していた。 昨夜の酔い…
11長い水床トンネルをぬけると、高知だった。 抜けた先には東雲に染まる空と海、海辺の焚き火があった。 涙がこぼれる瞳に一面のピンクがやさしく映っていた。 そうしてあたしも、長いトンネルの先に光を見出していた。 昨夜の酔い…
Dawn Pink(ドーンピンク)はご存知だろうか。 Dawnは、夜明け・あけぼの。日本名を東雲色という。 新明解国語辞典では、東雲は「明け方」の雅語的表現。 ネイチャープロの色々な色(現:色の名前 )によると、 “明け…
6時25分、辺りはまだ夜。 青白い月が浮かぶ中、民宿宍喰を後にする。 昨夜は一体、あたしは何を語ったのだろう? 醒めぬ酔いで、頭も、足取りも、ふらふらだった。 凍った空気が肌を突く。火照る頬には気持ちいい。 しかしいくら…
73.去るしかないとき 携帯アラームが鳴り、6時に目を覚ます。 前日に荷造りは済ませてあったので、 手早く仕度を整え、ビジネスホテルを後にした。 6時30分、四国とはいえ冬の朝は冷え込む。 歩き始めは体が冷えてるので寒く…
61.手のかからない子 なぜ、本音を隠すようになったのだろう。 それは本音を出すわけにはいかなかったから。 本音を出してしまえば母親が今以上に大変になる。 何も語らなくても、幼くても、家庭状況は分っていた。 2つ下の弟も…
51.鶴のお出迎え 7時35分、金子やを1人で出発。 前日に20番鶴林寺に間違えて向かったこともあり、 道を間違えない自信はあって、ぐんぐん進む。 しかし、私の歩いた道は遍路道ではなく車道。 それを知ったのは鶴林寺につい…
39.殺すって言葉 朝食を済ませ、部屋に戻る。 前夜、酔っ払って散らかした荷物をまとめる。 ピッチ(PHS)がノートパソコンにつながったまま。 遅くまでネトゲとMSNをした跡だった。 ネトゲはいつもの殺人ゲーム。 MSN…
30.おんやど松本屋 この日宿泊した“おんやど松本屋”は、 自宅に手を加え宿泊所にした感じの宿だった。 2階にある1部屋を使用させてもらう。 井戸寺に隣接し、食卓から寺の様子も見えた。 予定では3時か4時に宿に着くはずだ…
23.死装束 必死で歩いていたのは事実だが、 巡礼の旅という重苦しい雰囲気はなく、 形はスタンプラリーな私。 格好も白衣ではなく、トレーナーとジーパン。 リュックがなければ絶対遍路には見えないだろう。 「白衣は着たほうが…
14.ネット友達 前夜は持ってきたノートパソコンにPHSをつなげ、 ネット友達とMSNを使って話し込んだ。 とりとめのない話題をだらだら話す。 四国にいるというより、自宅にいる感じ。 違うのはアクビが止まらないことぐらい…